コム朝日記

廉価食パンについての哲学

違法逮捕と勾留

Q.逮捕手続に違法がある場合,それに引き続く勾留請求は却下されるのでしょうか?

 刑訴法207条5項ただし書きは,206条2項の規定により勾留状を発することができない場合には勾留請求が却下されることを定めています。
 206条2項では,203条から205条までの制限時間を遵守しなかったという手続の違法がある場合に勾留状を発することができないとされています。ここでは,制限時間不遵守という重大な手続違反をとらえて,勾留請求が許されないという効果が規定されています。そうであるならば,法的根拠のない違法な拘束のうち,制限時間不遵守の場合に限って勾留を許さないとする合理的な理由はありません。
 そもそも,司法の無瑕の確保および将来の違法捜査抑止の観点からは,前の手続に重大な違法がある場合には,後の手続の効力を否定することが必要となります。
 そこで,勾留請求に先行する逮捕手続の瑕疵のうち,明文ある身体拘束期間制限超過に匹敵するような重大な違法が認められる場合には,勾留請求は却下されるべきと考えることができます(酒巻)。

 

*古江60頁以下を参考にしました。