コム朝日記

廉価食パンについての哲学

再審

Q.再審請求の理由にはどんなものがありますか?

 再審請求理由は,刑訴法435条に列挙されています。
 なかでも,6号の,無罪等を認めるべき明らかな新証拠を発見したことを利用する「ノヴァ型」による再審請求が大多数です。

 

Q.435条6号は,どんなときに満たされますか?

 435条6号は,「明らかな証拠をあらたに発見したとき」と規定して,いわゆる証拠の明白性と新規性の要件を定めています。
 最高裁は,証拠の明白性の要件に関して,白鳥決定(最決昭和50・5・20)において,次のように判示しています。

 同法四三五条六号にいう「無罪を言い渡すべき明らかな証拠」とは、確定判決における事実認定につき合理的な疑いをいだかせ、その認定を覆すに足りる蓋然性のある証拠をいうものと解すべきであるが、右の明らかな証拠であるかどうかは、①もし当の証拠が確定判決を下した裁判所の審理中に提出されていたとするならば、はたしてその確定判決においてなされたような事実認定に到達したであろうかどうかという観点から、②当の証拠と他の全証拠と総合的に評価して判断すべきであり、この判断に際しても、③再審開始のためには確定判決における事実認定につき合理的な疑いを生ぜしめれば足りるという意味において、「疑わしいときは被告人の利益に」という刑事裁判における鉄則が適用されるものと解すべきである。

 ①~③は引用者が付したものです。

 

*司法試験での出題

〈平成20年新司法試験短答式問題 刑事系科目第40問〉

再審事由を定める刑事訴訟法第435条第6号は、「明らかな証拠をあらたに発見したとき」と規定して、いわゆる証拠の明白性と新規性の要件を定めているが、証拠の明白性に関する次のアからエまでの各記述のうち、判例に照らして、正しいものの組合せは、後記1から4までのうちどれか。
 
ア. 「明らかな証拠」とは、有罪等の確定判決を覆し無罪等の事実認定に到達する高度の蓋然性のある証拠を意味する。 ×

イ. 「明らかな証拠」とは、確定判決における事実認定につき合理的な疑いを抱かせ、その認定を覆すに足りる蓋然性のある証拠を意味する。 〇

ウ. 証拠の明白性は、申立てに係る証拠のみを単独に評価する孤立的な方法によって判断すべきである。 ×

エ. 証拠の明白性は、もし申立てに係る証拠が確定判決を下した裁判所の審理中に提出されていたとするならば、果たしてその確定判決においてなされたような事実認定に到達したであろうかどうかという観点から、当の証拠と他の全証拠と総合的に評価して判断すべきである。 〇